浪江出身の近藤学さん 日展・工芸美術で特選
美術団体「日展」は18日、改組新第7回日展の洋画と工芸美術の入選者を発表した。浪江町出身で東日本大震災と東京電力福島第一原発事故発生後、いわき市に工房「大堀相馬焼 陶吉郎窯」を設けた近藤学さん(66)の「象嵌彩(ぞうがんさい) 暁の景」が工芸美術の特選に輝いた。
近藤さんの「象嵌彩 暁の景」は、アシ原にたたずむスズメを陶器に描いている。いわき市内のアシの群生地に集う小鳥の情緒ある光景に感銘を受けて題材にした。夜明けの詩情が伝わると評価された。
近藤さんは震災発生後、浪江町からいわき市に避難。2011(平成23)年にいわき市内に窯を構え、創作活動を続けている。日展にはこれまで26回入選し、今年初めて念願の特選に輝いた。近藤さんは「諦めず挑戦し続けた結果が得られた。家族や関係者の支援や理解に感謝したい」と語った。
■長男賢さんも入選
一緒に窯を営む長男の賢さん(40)の作品「innocent blue」も工芸美術で入選し親子でのダブル入選を喜んだ。賢さんは「水の流れや風の動きを表現した。見る人に癒やしを与えられたらと思う」と述べた。
日展は9月30日から11月22日まで東京・六本木の国立新美術館で開かれる。
近藤さん親子以外の入選者は次の通り。
【洋画】▽県内在住=橋本広喜(郡山・初入選)羽根田隆(相馬)▽県出身=斎藤一郎(仙台)村松泰弘(埼玉県寄居)政木久美子(千葉県流山)渡辺正博(東京都板橋)増田真人(神奈川県寒川)
【工芸美術】▽県内在住=岩渕浩之(会津若松)坂内憲勝(同)菊地隆(白河)松宮輝明(須賀川)井上善夫(二本松)冨沢利男(南相馬)吉田みち子(桑折)角田純一(北塩原)渡辺雅旺(会津美里)